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  2004年間ベスト~今年の10枚:HIP-HOP編

 オルタナソウルエイリアンが選ぶ2004年間ベスト。R&B/SOUL編に引き続き、HIP-HOP編を発表します。

今年の10枚:R&B/SOUL編
今年の10枚:HIP-HOP編
今年の10枚:ROCK/POP編
今年の10枚:番外編



■HIP-HOP部門■

 The College Dropout

最優秀Hip-Hopアルバム
Kanye West / The College Dropout

 蟹江西が出した初めてのソロアルバム。
 それはカレッジ・ドロップアウトで、私は自称19歳でした。
 その内容は笑って泣けて、こんな素晴しいアルバムを聴ける私は、
 きっと特別な存在だと感じました。
 今では私がそのレビュアー。
 あなたに聴いてほしいのはもちろんカレッジ・ドロップアウト。
 なぜならあなたもまた特別な存在だからです。


 ここで有名音楽各誌の不当な評価に怒りを爆発させたことからもお察しの通り、オルタナソウルエイリアンが選ぶHIP-HOP部門年間最優秀アルバムはKanye Westのデビュー作です。ここ数年、Hip-Hopはネタに一切頼らないNeptunesやTimbalandのような完全お手製変態ビートが持て囃されていたのですが、それに一矢報いたのが蟹江さんでした。今や代名詞ともなったサンプリングネタ早回しに生楽器を有機的に絡ませた単なる懐古趣味に留まらない独自のサウンド・プロダクションでJay-Zの『The Blueprint』をセピア色に染め上げ大成功。これを機に巷には蟹江風ヘリウム・ヴォイス(蟹江未体験で平成生まれの方は"はじめてのチュウ"、昭和生まれの方は"帰ってきたヨッパライ"をイメージして下さい)が大氾濫し、昨年あたりからHip-Hop界全体の大きな流れとなっているオールドスクール回帰の端緒を開いたキーパーソンとなり、もはやプロデューサーとしては神レベルに達していたのは皆さんご存じの通り。

 でもって待望のソロデビュー作として本作が2004年初頭にドロップされました。人気プロデューサーがリーダー作をリリースするのはそれほど珍しくありませんが、蟹江氏が彼らと違ったのはゲストMCの助けを借りつつも、あくまで主役の座を譲らない異常な出しゃばりだったこと(笑)。そして彼が意外なことにかなりのラップ・スキルを有していたということであります。いや、このあたりは異論のある方も多いでしょうが、あのもったりしたへタレ感漂う脱力ラップはそれだけで個性の塊ですし、韻の踏み方などもよくよく聴いてみれば非常に高度なテクニックが多用されているのがわかります。なによりこのアルバム発表以降、彼がラッパーとしてfeatureされる機会が増えたことがその証左となっているのではないでしょうか。

 そしてそれ以上に度肝を抜かれたのがその特異な歌詞世界。Hip-Hopと言えば暴力・金・女・車などをライムするギャングスタ・スタイルか、社会問題・政治問題まで言及するコンシャス・スタイルかの二者に大別されるのが現状ですが、蟹江さんはこのどちらでもなく、あくまで独自のへタレ道を邁進。ポロシャツにリュックサックという秋葉系ファッションを身にまとって、大学中退で学歴社会から脱落したトラウマをねちねちと語り、バイト人生から成り上がった自身がいかに大金を稼ぎ出しているかを自慢して高学歴でも冴えない人々をユーモラスに茶化し、交通事故で瀕死の重傷を負って映画「ヴァニラ・スカイ」のTom Cruiseのように顔面崩壊した体験まで衒いなく語るなど、これまでHip-Hopの俎上には決して上がることのなかった自虐的テーマを次から次へと披露しました。プライドも何も投げ捨てたかのようなそのスタイルはかっこつけたがりなラッパーの価値観を根底から覆したと言っても過言ではないかも知れません。

 それと同時にただの自慢に見せかけて実は見事な学歴社会の風刺であったり、「かっこつけラッパー」が借金や盗みを働いてまで身につけたがる金・銀の類を意味を成さないものと一刀両断したり、Hip-Hopと信仰というアンタッチャブルな領域にまで臆することなく切り込んだり、Common/Mos Def/Talib Kweliら本作にもゲスト参加しているコンシャスMCにも劣らない社会派な一面をへタレ風に出しているのも聴き所のひとつであり、恐らくグラミー選考委員のようなインテリ層に受けた最大要因であると思います。

 もちろん本作は当代随一のプロデューサーが「自分が最高だと思ったトラックは人にあげずに自分にとっておいた」と自負する内容だけ合って、歌詞がわからなくてもサウンドだけでイケてしまう内容です。Chaka Kahn "Through The Wire"という誰もが知っているような大ネタから、Michael Boltonがブレイク前に在籍していたロック・バンド=Blackjackという隠れネタまで沢山の仕掛けが隠されているので、元ネタと聞き比べするだけでも面白いでしょうし、対訳と合わせて聴けばホロリともキテしまう瞬間も後半には出てきます。笑って泣けて踊れてシンガロングできる。こんなHip-Hopアルバムにはマジで初めて出会いました。だからあなたにも、カレッジ・ドロップアウト・キイテホシイ。



優秀Hip-Hopアルバム

 Cee-Lo Green... Is the Soul MachineTill Death Do Us PartThe Grind Date
 Joyful RebellionNew Danger
 R&G - Rhythm and Gangster: The MasterpieceTrue StoryWEAPONS OF MASS DESTRUCTION(初回)

Cee-Lo / Cee-Lo Green Is A Soul Machine
Cypress Hill / Till Death Do Us Apart
De La Soul / The Grind Date (Listen)
K-Os / Joyful Rebellion
Mos Def / The New Danger (Listen)
NaS / Street's Disciple (Listen)
Snoop Dogg / R&G : The Masterpiece (Listen)
Terror Squad / True Story (Listen)
Xzibit / Weapons of Mass Destruction

 他のジャンルに比べてHip-Hopにおける好みはかなりハッキリしているのですが、主役のラッパーだけでなくトラックを提供するプロデューサーが誰かによって作品の出来が大きく左右される分野なのでかなり沢山聴きました。でも最終的にはKanye WestとNaSさえ押さえておけば今年は十分じゃないかなとの結論に。いや、かなり極論ですけどこの二作品が突出していたのは確かだと思います。

 でも一部不満は残っても7割方は十分満足のいく「中の上」~「上の下」クラスの作品は非常に多く、リリースが集中する下半期は常に何かしら聴く価値のある作品がリリースされていたように思います。突出したものは限られているけど、平均値は例年に増して高かったという感じかな。

 メインストリームで何も考えずに楽しめるという意味ではまずNeptunesのStarTrakに移籍し、そのNepがプロデュースした"Drop It Like It's Hot"でキャリア初となるシングル・チャート1位を記録したSnoop Dogg。そして「BronxにリアルHip-Hopを取り戻せ」を合い言葉に女性MCや男性シンガーを入れるなどメンバーを刷新したFat Joe率いるTerror Suquadの二枚を挙げたいです。

 Snoop Doggとも一時期つるんでいたXzibitの5thは大量破壊兵器というタイトル通り、社会問題に真っ正面から取り組んだシリアスな楽曲が前半に集中。LL Cool Jの"Headsprung (prod. by Timbaland) "と瓜二つなクラブ・バンガー"Hey Now"や、2Pac "Keep Ya Head" のようなメロウな人生応援歌"Judgement Day"などもありますが全体的には彼らしいタフな一枚で聴き応え十分でした。

 コンシャス系ではなんと言っても五年ぶりにフル・アルバムをリリースしたMos Def。歌とラップが混在し、曲によってはメタル・ギターが暴れまくる、変種のHip-Hopが好きな人には堪らないけど、純粋なHip-Hopヘッズには真逆の意味で堪らない問題作でした。個人的にはすごく気に入ってます。

 同様に変種なHip-Hopを展開しているCee-LoもAndre3000にかなり刺激を与えたに違いないドス黒い処女作から、少し売れ線に流れてパッと華やかな充実の2ndをドロップ。The Rootsも充実していましたが、Jazz-Hopからソウル系・ファンク系に移行した結果、De La Soulとバッティングした気も。個人的にはDe La Soulに軍配。

 またベテランの彼らより未来を感じさせてくれるのはカナダはトロント出身のK-Os。アコースティックな生バンド主体の演奏で味のあるライムを聴かせ、歌の比重も非常に大きいMe Phi Me~Speechの系譜に連なりそうなシンガーソングライター的風情の要注目アクトです。最近主流から外れつつあるWyclef Jeanをクールにした感じとも言えるかな。

 最後にCypress Hillはラップ・メタル、ヘヴィーロックの土台を築いた十年選手ですが、今作ではレゲトンを取り込むなどジャマイカ音楽に急接近して過去最高にポップな音作りでした。イタリア系白人=DJ Maggsの作るトラックが、陰鬱でロック色の強いEminemのプロダクションをもっと重心を落として肉感的に仕上げたような質感で、Eminemも本当はこうしたいんだけどスキルが伴ってないからああなってしまったのかな?とも思ったり。



Honarable Mentions:

De La Soul / The Grind Date
Dead Prez / Revolutionary but Gangsta
Immortal Technique / Revolutionary Vol.2
Masta Ace / A Long Hot Summer
T.I. / Urban Legend

 自分のストライク・ゾーンからは微妙に外れていましたが、今年コアなHip-Hopヘッズに強い支持を受けたのがMasta Ace。蟹江的オールドスクール再生ではなく、モロ90年代中期の音を求めているようなインディー/アングラ好きにお薦め。Wu-TangのGhostface、Masta Killaのソロも同じような質感がありました。

今年の10枚:R&B/SOUL編
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コメント

ふむふむふむ。
毎度ベンキョになるな~。
あまりに沢山好きなアルバムありすぎて(買えないのあるし)
年間ベストって選ぶの難しいけど、私も年内に選んでみよっと♪
たのしや。

蟹江が堂々1位ですか。
実は蟹江、最初、どーも好きになれなくてほったらかしてたんですよね。丁度Album発売の頃、事件が起きてレコを売るはめになったりとバタバタバタバタしちゃったので、さらりとしか聴いてナイ。
しかも、地元DJの間では「蟹江!めちゃかけにくい!」とゆー合言葉が流行りクラブでも聴かないし。
でも『噛めば噛むほど・・・』みたいな気はする『チュー』だけに。
あと歌詞の内容の話にめちゃ惹かれました!日本盤欲しいな。

今夜は蟹江のLPを売る前に録り残したMDを帰ったら早速聴こうと思いまふ♪わはは

僕も1位は文句無しに蟹江です。
Prince、Teddy Rileyと並列に並べられるぐらい、同時代を体験できて良かったーと心から思える人です。

ただ聞いてないの多すぎで年間ベストは無理ですわ。

説得力ある10選でした~。さすが!
カニエの「ヘタレ」を前面に出しつつ絶賛!というのが素晴らしいです(笑)。そっかー。そういう内容のアルバムだったのか・・・と、大変勉強になりました。なんか本人に「ダサ感」があって、触手が伸びないというか、そんな感じだったんですけど、ここまで綺堂さんが誉めるとなると、やっぱ聴かなきゃなあ。
Jinを後回しにして蟹江にしようかしらん?(笑)

>maimaiさん
蟹江に関してはこれでもまだ言い足りないぐらい(笑)。
来年ボートラ・DVD(MV7本)・完全対訳のデラックス盤
が出るらしいけどその発売記念にまたレビューしようかしらん?
確かに格好良くはないからクラブは不向きかも…。
踊れるのは踊れると思うんだけどねぇ。
ただ個々の曲を取り出して聞くより、
アルバムとして聴いた方が絶対面白いと思うよ!
maimaiさんの蟹江評&年間ベストも楽しみにしてまっする。

>Kaiserさん
プリンス、テディと同列扱いっすか!
テディと同格なのは納得だけどボクの中では
まだまだ殿下には及ばないかな。
でも今年のアルバム対決では蟹江の勝ち!
やっぱ今年は蟹江の年でしたね。
Kaiserさんの年間ベストもお聞きしたいんですけど無理っすか(/ヘ ̄、)グスン

>めぐみさん
ありがとうございますっ!あとからデラの方がルーツより
良くないか?と思って急いで入れ替えました。
名付けて「寺 vs 根」対決(笑)。
以前のような斬新さがなくなったと言われるように
ボクもピンときてなかったデスチャも最近になって
意外といいかも?と思ってきたり、またあちこちで
激しい入れ替え戦が行われそうです(^o^)
やっぱ年末に選ぶのは十分な審査ができなくて(゜ー゜;Aアセアセ
蟹江は上でも書いたように今度デラックス盤が出るのですけど
三千三百円とちょっと高め。
まぁ今出てる通常盤でよろしいかと。
でも是非対訳ついてる国内盤で!
Jinのアルバムにも蟹江さん参加してますよー。

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