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  Arrested Development / The Heroes Of The Harvest

 ザ・ヒーローズ・オブ・ザ・ハーヴェスト

 再結成Arrested Development(以下AD)が2001年に放った待望の復活フルアルバム第一弾。 以前はダンサーから衣装デザイナーまで含む10人近い大所帯であったが、本作ではリーダーSpeech、ダンサーEshe、パーカショニストRasa Don、そして老齢のBaba Ojeの4人という小編成となった。しかし逆にこれが功を奏し、メンバー個々人の個性が様々な形で重なり合い、本作中のあちらこちらにケミストリーが生まれている。

 本作はアルバム全体が明るく華やかなトーンによって貫かれており、サウンド、リリックの双方において、些かヘヴィであったADの前作『Zingaramaduni』とは大きく趣を変えている。Speechならではの鋭い視点から切り込むメッセージ色の強いライムは、彼がアルバム3枚のソロ活動、オリジナル・レーベル創設、結婚などを経て、人間的に大きく成長したことにより、新たなユーモアを獲得したようにみえ、ベテランMCとしての風格が感じられるまでになってきている。Speechとは全く異なるスタイルといえるRasa Donのラガマフィン調ラップも滋味溢れる旨みがある。さらに今回が初披露となるEsheの歌&ラップが実に素晴らしい。これは嬉しい誤算だ。また「家族」をテーマに結成されたADにとって、今回の復活劇に70歳間近のBaba Oje(69)が参加したことは注目すべき点である。Baba Ojeはアルバム中において特に何するわけでもないが、メンバーの精神的支柱である彼の存在自体が、本作が放つポジティブで陽気な雰囲気に直結しているのではなかろうか。

 前AD時代にもアンプラグドアルバムを発表するなど、他のHIP-HOPグループとは比較にならないほど生演奏によるパフォーマンスを重視していた彼らではあるが、本作のサウンドはその延長線上にありながらも、そうした姿勢をさらに強く推しだしている。このオーガニック感覚溢れるハートウォーミングなサウンドは、新生ADの大きな魅力の1つといえよう。これによって、ADこそが今日のネオ・ソウル/ヒップホップ・ムーヴメントの源流であるという、全くもって正当な認識が世間一般に浸透すると良いのだが。

 個々の楽曲について見れば、1st、2ndでは見られなかった歌中心のナンバーが数曲、それに加えて完全にジャズのインストゥルメンタルが一曲あることが印象的。これらはそれぞれ、アルバムの絶妙な位置に配されており、約80分(!)と長丁場に渡る本作にアクセントをつけており、ラストまでリスナーをまったく飽きさせない。

 かつてはチャートに数々のヒット・シングルをアルバムから送り込み、グラミー賞最優秀新人アーティストを受賞するなど一世を風靡したArrested Development。しかしながらそうした彼らの華やかな経歴も、Gangsta Rapの急成長によって人々の記憶から次第に薄れ、今回の再結成もアメリカ音楽界には完全に無視されてしまった。

 そうした逆境のただ中において、決してそうした状況をネガティヴに受け取らず、逆にオルタナティヴに徹することで客観的視点を獲得して、現在のHIP-HOPシーンが抱える多くの問題、ブラック・コンシャス・シーンにおける矛盾などを、彼らのユーモア溢れるラップでもって、バッサバッサと切り倒していく様は実に痛快である。The Roots周辺が好きな方には是非とも手にとって聴いて頂きたい。
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